
※以前別のブログで書いた文章をそのまま掲載しています。
「『真面目な人は辞められないし責任を感じて自殺する、ってのをコイツを理解すること無いんだろうな。』
世の中の人は、本当にここまで『真面目』なのか? あまりの価値観の違いに驚いた僕は、次のように返しておいた。
『不真面目になればいいじゃん! 死ぬよりマシでしょw』」(p41-42)
思わず笑ってしまうやり取りだった。堀江氏は素直であり、反論している人は「真面目」だ。だからこそ、可笑しさがある。まるで落語か昔話である。
私は堀江貴文氏が好きである。何が好きなのかよくわからないが、たぶん、当たり前のことをストレートに言うから好きなのだろう。
「どうか『自分のことだけ』考えて、生きてほしい。
せっかく命をこの世に享けたのだから、誰だって、きちんと最後まで生きなくてはだめだ。『自ら命を絶とうとする人』なんて、本来はこの世に一人たりともいてはいけない」(8p)
「はじめに」の一文を引いてみたが、どうだろうか。真っ当だと思わない人は少ないのではないか。当たり前のことをふつうに言っている。もう一つ例を挙げてみる。
「東大時代、居酒屋で寮の仲間から囲まれて散々怒られたことがあった。
誰かの言葉を聞いて、『そんなの意味ないでしょう。馬鹿なんじゃない?』と僕が指摘したところ、皆から『堀江は人の気持ちがわからなすぎる』と糾弾されたのだ。
僕は『人の気持ちなんて、わかるわけがない!』と言い捨てた。それは、皆の中に、いかにも僕らしい台詞として長く記憶に残ったらしい。かくいう僕もそのことをよく覚えている」(24p)
これもブラック企業と自殺に関するやり取りと同じだ。堀江氏は素直で、皆はいかにも「真面目」である。 この本に書かれたこれらのやりとりが面白くて仕方なかった。たぶん本人は笑わずに真顔で言っているのだが、可笑しくて仕方がない。
本当にこの本には素直で「当たり前」のことしか書かれていない。タイトルは失念したが、前に読んだ本もそうだった。筋が通っている。でも、これは多くの人には言うことができないことらしい。当たり前のことしか書いていない。だけど、誰にもそれが言えない。
この本は人気があるんだろうか。わからない。だが、もし人気があるとするならば、堀江氏の願いは届いていないのではないか。それは、真面目な皆が「普段思っていても言えないことをホリエモンが言ってくれている!」から売れていると考えられるからだ。 特に考え方が変わったとか、変えようと思うという感想があふれている間は、きっと堀江氏の「『自分のことだけ』考えて、生きてほしい」という願いは達成されないだろう。
堀江貴文の願う世界は、ホリエモンがオワコンになった時に訪れる。