※以前別のブログで書いた文章をそのまま掲載しています。
この四月より『折口信夫全集』を読み進めています。私が持っているのは、旧字旧仮名遣いのいわゆる旧全集です。 購入したのはもう五年以上も前になります。当時学生だった私は、学問の上の必要性からこの旧全集を買い求めました。
「日本の古本屋」で在庫があるのを確認し、神保町にある古書店に行きました。当時、半蔵門のとあるラジオ局で夜勤のアルバイトをしており、夜勤が終わった後、フラフラしながら向かったことを覚えています。
全集の値は覚えていませんが、ほかの店より安かったのは確かでした。店主は「東日本大震災の時に書棚から落下し、外箱が割れてしまったので安いのだ」と言いました。
彼は私の学校を尋ね、私が答えると、「妻の母校だ」と言ってほほえみました。「あそこの学生さんなら全集を買うのもわかる」と。
授業の準備の折に付箋を差し込みカラフルになった全集は、大学を逃げ出した後、しばらく書棚に積まれていました。実家から東北、埼玉……一人暮らしの間、この全集が通読されることはなかった。ただし、常に本棚の一定の位置を占めていました。
今もまだ本棚の一番取り出しやすい場所に並べられています。昨月のとある経験(これは別に書くことがあるはずです)により、個人の全集を通読したくなりました。
このブログをはじめたのは、この通読を記録することが目的です。どのくらいかかるかわかりませんが、進めていきたいと思います。 今後、本ブログで引用される文章はいずれも旧全集によるものです。
