※以前別のブログで書いた文章をそのまま掲載しています。
本作はとても丁寧で折口自身が次のように要約している。
「私は長々と、だるが行路死人の魂魄から精霊化して、遂にはひだる神とまで称せられる様になつた道筋を暗示して来た。其が更に仏説に習合して、餓鬼と呼ばれる様になつた事も解説した積りである。かうした精霊の肉身を獲ようとする焦慮は、ぬさや、食物の散供を以てなだめられなければ、人に憑く事になつたのである。其が食物を要求する手段として、人につく、と考へられる様になつたと見る事が出来る」(p351-352)
「餓鬼」から仏教の要素を剥奪し、「ひだる神」と等しいものとして理解する。さらに「ひだる神」を「精霊」、そして「行路死人」へさかのぼって理解しようとしている。
新しい形から古い形へさかのぼっていく姿勢は、今まで読んだ折口の著作すべてに横たわるものだと思う。
今まで読んできた著作のなかでは、親切な作品でした。
