
※以前別のブログで書いた文章をそのまま掲載しています。
科博の特別展は、おそらく一年に一度くらいの割合で足を運んでいます。前回は南方熊楠の企画展を見に行きましま。これは興味のあるものというよりもタイミングの問題で、今回も都内に出るついでに、という面が大きい。これは同館の展示に興味をひかれることがないという訳ではなく、むしろどの特別展も観たいと思わせるものばかり。ただ遠い……。 今回の特別展の「ごあいさつ」のはじめは、こんな文句ではじまっている。
「私たちの体は神秘に満ちています」 非常にキャッチーだ。展示のテーマも一言で表している。こういう文句を自分を考え出してみたいものです。今後、訪れた博物館(展示)をレビューしてみようと思っているので、何となくレビューの観点を。
資料
扱っている資料の種類や一次資料と二次資料の割合、展示点数、キャプションについてなど。
構成
章分立てや展開、ストーリー、キャッチコピーについて
広報
印刷物、デジタル、ウェブ、SNSなど
教育普及
関連事業やイベント類について 一応、上記のような形でレビューをしてみます。最後に所感、かな。
資料
一次資料が2割、二次資料とそれ以外で8割という感じでしょうか。 一次資料は、レオナルドダヴィンチの「解剖手記」や人間の臓器の標本がありました。人間の臓器の展示は、個人の得手不得手(?)や信教のため、ゾーニングされていました。 二次資料としてはとにかく映像が多く利用されています。今回観て気がついたのは、映像の音声。ほとんどの映像は無音声でした。映像同士の音が干渉しあってうるさくなるという事情もあろうかと思いますが、おそらく音声ガイドには映像に対応する音声が収録されているのだろうと思います。ガイドを使ってもらうためには、上手な方法ですよね。 それ以外には、細胞に彩色した作品など、本筋の展示には関わらぬものがありました。アートの領域ですね。非常にきれいでした。

構成
はじめに人体研究史、次に最新の研究に基づく各器官に関する展示、最後に最先端の研究とこれからについて語っていました。専門用語の数や使い方から考えると、導入部から難易度を変えつつ、展開していたようです。導入が研究史あるいは歴史に関する展示であるということもなかなか興味深いです。 なお、先の彩色した作品や後述するものは、いずれも最先端研究のあとにコーナーが設けられていました。
広報
ウェブやSNSは見ていないので、レビューしようもありません。またチラシも外注(プロのデザイナー)の手によるものでしょうから……。気になったのは、このパネル。

さ最近どんなところでも見ますが、もはやSNSの利用を促すのは当然のこと。ただそれはSNS映えする「何か」とのセットにして運用すべきなんでしょう。本展示の場合は、彩色した作品のほか、こんなものがありました。

タモリさんです。レゴブロック製です。NHKの関連番組で使用されたそうな。

らライティングと指向性を持たせたスピーカーによる展示。いずれも「インスタ映え」しそうですがどうでしょうか?
教育普及
「数字で知ろう!人体コーナー」というものがありました。せかせかと回ってしまったので確認できませんでしたが、おそらく子供向けのラリーをやっていたものだろうと思います。
感想
やはり大規模な博物館というだけあって、さまざまな配慮がなされた展示でした。当然、相応のスポンサーもあり、お金かかっています。が、それよりもむしろ、易しい導入部からはじめ、最後には最新科学の成果とそれが目指す今後を示していることが良いなと思いました。
これは余談ですが、パネルが浮いていたり、ムラが出ていることに親近感を覚えましたあれ、手作業で作ってますね、たぶん。 勤め先の館は、糊がついた発泡スチロール状のパネルに紙を貼り付け、切り取って展示パネルやキャプションを作っています。おそらく科博の展示もその類です。このパネル、便利なんですが、乾燥で反ったりゆがんだりするんです。そのとき、接着が甘いと浮いてしまうようで、前回の企画展ではお客さんに怒られたという苦い経験があります……。 科博でさえもこんなことあるんですね……。お金がかかっていそうだ、などと書きましたが、内実はわりと大変なのかもしれません。ルビの修正も多かったように思います。
次回は鎌倉文学館か千葉県内の博物館に行くつもりです。